「家賃を抑えて暮らしたい」「静かな住環境で生活したい」などの理由から、団地での一人暮らしを検討する方も少なくありません。

しかし、沖縄県内の団地(県営・市営などの公営住宅)では、単身での入居は原則として認められていないケースが多く見られます。応募には家族との同居が条件となることが多く、単身者が入居できるのはごく限られた特例の場合に限られます。

例えば、高齢者、障がい者、または特定の事情を抱える方など、一人暮らしの生活に支援が必要と認められる場合は、単身入居が許可されることもあります。このため、沖縄で団地暮らしを希望する場合は、まず「どの団地が単身入居に対応しているのか」を確認することが大切です。

本記事では、沖縄県内で団地に一人暮らしする際の現実的な条件や注意点を整理しながら、単身入居が可能なケースや、代わりに検討すべき住宅の選択肢についても解説します。

「団地で暮らしたい」と考える方が、安心して選択できるように、制度の仕組みを分かりやすくご紹介します。

宮古島には市営団地と県営団地がある

県営団地は沖縄県が主体となって整備・運営していますが、実際の管理業務は当社が担当しています。入居資格や家賃は県全体で統一された基準に基づいており、申込みや入居選考も同様です。

市営団地も同様に、宮古島市が設置し、当社が管理を担う公営住宅です。平良・城辺・伊良部・上野の各地区に分散して配置され、地域に密着した住宅支援として運用されています。団地ごとに長年のコミュニティが形成されており、地域とのつながりを重視した暮らしができる点も、市営団地ならではの魅力です。

県営・市営住宅等指定管理者 日宅

宮古島市内には、沖縄県が管理する県営団地が14団地、そして宮古島市が管理する市営団地が合計63団地(平良地区11、城辺地区27、伊良部地区6、上野地区19)あります。いずれも、所得や家族構成に応じて入居できる「公営住宅」として運用されており、民間賃貸に比べて家賃が安く設定されています。

ただし、どちらの団地も基本的には家族世帯向けの設計が中心です。単身での入居は「高齢者」「障がい者」「特定の事情を有する方」など一部の条件を満たす場合に限られることが多く、一般の一人暮らしでは応募が難しいケースがほとんどです。

宮古島で公営住宅を希望する場合は、まず自分の世帯状況と収入がどの団地の募集条件に該当するかを確認し、募集時期に合わせて早めに申請を行うことが大切です。

団地の修繕は誰の負担?県営・市営住宅で異なるポイントを整理

団地(県営・市営住宅)は、地域の生活を支える大切な公的資産です。そのため入居者には、日常的な住まいの管理と適切な維持に努める責任があります。修繕費用についても一定のルールが定められており、故意や過失による破損など、入居者の不注意が原因の場合は、本来は県や市の負担であっても入居者が修繕費を負担することになります。

一方で、経年劣化や自然損耗といった入居者に責任のない部分については、原則として県または市が修繕を負担します。たとえば、給水栓・スイッチ・換気扇などの自然劣化による不具合は公的側の対応範囲とされる場合が多く、県営住宅では壁の亀裂や塗装の剥がれなども経年劣化とみなされ、県の負担で修繕が行われます。

なお、県営と市営では共通点も多い一方で、負担の境界や共同施設に関する費用(共益費)の扱いに違いがあります。主な違いを整理すると以下の通りです。

項目 県営住宅の負担区分 市営住宅の負担区分 備考
室内壁の張替え・塗装 鴨居(約1.8m)より上は県負担、下は入居者負担 鴨居高(約1.8m)までの塗装・清掃は入居者負担 負担基準は共通(鴨居高が目安)
消耗品 電球・蛍光灯・グローランプの交換は入居者負担 同様に入居者負担 共通して入居者負担
害虫駆除 ノミ・ゴキブリ等は入居者負担 ノミ・ゴキブリは入居者負担、シロアリ・アメリカシロヒトリは市負担 構造部分に関わる害虫は市が対応
排水管清掃 建物全体の清掃は県負担、各戸の詰まりは入居者負担 建物全体の清掃は市負担、各戸の詰まりは入居者負担 各戸内の詰まりは入居者負担

このように、団地の修繕では「自然劣化は公的側、使用による損耗は入居者側」という原則が基本になります。入居後のトラブルを防ぐためにも、事前に負担範囲を理解しておくことが大切です。

沖縄県営住宅・宮古島市営住宅の入退去ガイド

入居の仕組み:空家待ち募集とは

県営・市営住宅は、空室が発生した際に入居候補者を抽選で決定する仕組みを採用しています。募集は原則として年1回(例年7月)行われ、応募者の中から抽選で入居順位が決まります。上位当選者は、指定期間内に必要書類を提出し、資格審査に合格した場合に「空家入居者名簿」に登録されます。

登録の有効期限は1年間で、期限内に空室が出なかった場合は次回の募集に改めて申し込む必要があります。

入居申込の主な条件

県営・市営住宅の入居には、以下のような基本要件があります。

  • ・現在、住宅に困っていること(持家がないこと)
  • ・県営住宅は沖縄県内、市営住宅は宮古島市内に住所があること
  • ・県民税・市町村民税を完納していること
  • ・収入基準を満たしていること(一般世帯:月収15万8,000円以下、裁量世帯:月収21万4,000円以下)
  • ・同居または同居予定の親族(3親等以内)がいること
  • ・保証人が確保できること(収入が入居者と同等以上)

単身入居が認められるケース

単身入居は原則として認められていませんが、例外的に次の条件に該当する場合のみ可能です。

  • ・60歳以上の高齢者
  • ・障がい者手帳を持つ方
  • ・生活保護受給者
  • ・ハンセン病療養所入所者
  • ・DV被害者 など
  • (※別居中の場合は対象外)

年に一度の収入申告

入居者は、毎年6月末までに「収入申告書」「住民票謄本」「所得証明書(16歳以上全員分)」などを提出し、翌年4月からの家賃を決定します。 提出がない場合、家賃が近隣水準の約3倍に引き上げられるため、必ず期限内に手続きを行う必要があります。

ペットの飼育は禁止

公営住宅では、入居時に「他人の迷惑となる家畜・動物は飼育しない」とする承諾書を提出します。実際、ペットによるトラブルが多く報告されており、犬や猫などの飼育は禁止されています。共同住宅としてのモラルとルールを守り、周囲との良好な関係を保ちましょう。

退去時の手続き

退去が決まった場合は、1か月前までに退去届などの必要書類を提出します。提出書類には以下が含まれます。

  • ・住宅退去者受付表
  • ・敷金還付請求書
  • ・住宅明渡届
  • ・債権者登録申請書
  • ・水道給水停止届(直接水道局へ提出)
  • ・銀行口座写し・印鑑 など

駐車場を使用していた場合は「駐車場明渡届」も必要です。

書類提出後に「退去査定日」を決定し、入居者立会いのもと修繕費が査定されます。清掃を怠った場合は別途清掃費が発生します。

公共料金・共益費の精算

退去時には電気・ガス・水道の最終精算を行い、「完納証明書」を受け取ります。 県営住宅の場合は自治会からの「共益費完納証明書」も必要です。

修繕費の目安と敷金の取り扱い

公営住宅では、退去時に入居者負担修繕費が必要になります。 目安は12万〜21万円程度で、使用状況によって変動します。修繕費は敷金から充当され、不足分を支払い、余りがある場合は還付されます(還付まで約2か月)。

ただし、家賃滞納や完納証明書の不備がある場合は還付が行われませんので注意が必要です。

安心して入居・退去を行うために

県営・市営住宅は、低家賃で安定した生活を支える大切な制度です。入居前の条件確認や、在住中のルール遵守、退去時の適正な手続きを行うことで、トラブルを防ぎ、安心して公営住宅での暮らしを続けられます。 不明点がある場合は、お気軽に当社スタッフまで直接お問い合わせください。