近年では親世帯と子供世帯が同居する二世帯住宅への関心が高まりつつあります。共に心地よく過ごせる条件や間取りを追求できれば、二世帯住宅利用者も満足度が高い傾向にあるようです。

この記事では、二世帯住宅とは何か、二世帯住宅の種類について、リフォームする時の間取りの決め方などをご紹介します。

◆二世帯住宅とは

二世帯住宅とは、「親・子・孫」などの同居・隣居を行える物件です。ひとつ屋根の下で生活スペースを共有するイメージが強いですが、お互いのプライバシーを尊重するため、「キッチンや浴室を別々に設ける」「玄関を別々に設ける」など幅広い生活様式が存在します。

「令和2年国勢調査人口及び世帯数」によると、東京都の平均世帯人数が2人未満になるなど、国内では核家族や単身世帯が急増中です。一見すると二世帯住宅の需要は無さそうに思えますが、実のところ二世帯住宅へのリフォームはいまだに一定の需要を保っています。

昭和から60年頃から平成20年まで「同居・隣居・近居を目的とする住み替えは5%」程度だったのに対し、平成25年には10%程度と2倍近くになっており、その増加率には目を見張るものがあります。

二世帯住宅の代表的な種類

今や親世代と子供世帯が同じ土地へ住むことも珍しくありません。中には、親の定年や孫が生まれたなど、さまざまな理由で二世帯住宅へのリフォームを望むご家族の方もいらっしゃいます。

そんな二世帯住宅では、大きく分けて3つの種類からリフォームする形式が選ばれます。二世帯住宅の代表的な種類は次の3つです。

  • ・完全同居型
  • ・部分共有型
  • ・完全分離型

完全同居型

完全同居型は、「寝室」と「個室」以外をすべて共有する二世帯リフォームです。ただ単に「1つの住宅に二世帯で住む」のとは少し異なり、リフォームで高齢者向け設備を取り入れたり、水回り設備を増設したりなど生活環境を改善する二世帯向けリノベーションが行われます。

同じ住宅へ住むため、家事の手助けや育児の協力など、密な連絡を取りやすい点がメリットです。また、二世帯住宅の代表的な種類の中でも、リフォームに掛かる費用や光熱費等をもっとも安く抑えられます。

しかし、同じ住居に二世帯が住むため、ドア一枚を隔てたプライバシー空間しか設けることができません。生活スタイルが異なると、夜間の騒音トラブルや水回り設備の占有など、お互いにストレスを抱えてしまうケースがあります。

部分共有型

部分共有型は、各世帯用のフロアを持ち、ある程度の生活環境を分離させた二世帯リフォームです。一部の生活設備を世帯間で共有するため、部分共有型の二世帯住宅と呼ばれます。

一定のプライバシーを保つために滞在時間の長い空間をフロアごと分けるため、程よい距離感を保てます。完全同居型に比べるとストレスを抱えにくいといったメリットがあると言えるでしょう。

ただし、各設備の使い方や清掃面など、細かい部分でいくつかのトラブルに発展してしまう場合も。一定のプライバシーを確保しつつお互いの世話をしやすいため、二世帯住宅へのリフォームでは多く見られる種類です。

完全分離型

完全分離型は、玄関をはじめ、各設備を完全に分離させた二世帯リフォームです。同じ屋根の下ではあるものの建物の内部は完全に分離されており、「同じ土地に家を立てた隣人」という感覚で生活を送れます。

プライバシーを完全に確保できるため同居のハードルが低く、配偶者の合意を得やすいのもメリットです。

ただし、設備の設置費用や光熱費は倍増するため、二世帯リフォームの中でもコストが掛かってしまうデメリットがあります。

◆二世帯住宅の間取りを決める時のポイント

二世帯住宅の間取りを決めるときは、生活スタイルに合わせて住宅の種類を選びましょう。たとえば、「親世帯は早寝早起き」「子世帯は夜遅くに帰る共働き」となると、お互いの騒音でストレスを抱えてしまうかもしれません。

二世帯住宅の間取りを決める時は、2つのポイントをもとにじっくりと検討することが重要です。

  • ・生活スタイル
  • ・将来性を踏まえた計画

生活スタイル

二世帯リフォームにおいて、もっともトラブルを抱えやすいのが生活スタイルの相違です。たとえば、世帯を1階と2階で分ける間取りを選択すると、「親世帯は早寝早起き」「子世帯は夜遅くに帰る共働き」といった生活スタイルの違いで、足音や生活排水の音がストレスになってしまうかもしれません。

生活スタイルが大きく異なる場合は、完全同居型を避けて部分共有型・完全分離型を選ぶことがおすすめです。

将来性を踏まえた計画

二世帯住宅は種類に応じてリフォームに掛かる費用が大きく変動します。そのため、まずは予算の比較検討から入るご家族も少なくありません。中には、片方の世帯が多く費用を出すことで、いくつかの要素を「仕方ないか…」ともう片方が我慢して受け入れる場合があります。

しかし、二世帯住宅リフォームの計画段階において、我慢は禁物です。実際に住み始めてから、こんなはずではなかった…とトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。プライバシーの確保が充分ではないと、親子の関係に軋轢が生まれてしまいます。

そのため、将来性を踏まえて計画段階からしっかりと話し合うことが重要です。それぞれの世帯が二世帯住宅で気持ちよく暮らすために必要なことは何か、お互いの世帯に求めていることは何か、年老いる親世帯へのバリアフリー環境は用意すべきか、など綿密な相談をおすすめします。

また、二世帯リフォームが完了した後、光熱費や修繕費の費用負担をどうするかといった点についても計画を建てましょう。場合によっては、無理に二世帯住宅のリフォームを行うよりも、近い地域に隣居・近居したほうがお互いの健全な将来設計に繋がる場合があります。

◆二世帯住宅のリフォームはしっかりと相談してから実行を

近年では、二世帯住宅へのリフォームに関心を寄せる方も少なくありません。

「孫の顔を見たい・一人暮らしで寂しい」などさまざまな思いを馳せる親世帯と、「子育てや家事に手が回らない・共働きで幼い子供を一人にできない」といった悩みを抱える子世帯は、二世帯住宅を通じてお互いをフォローし合える関係を築けます。

しかし、お互いのことを思って二世帯住宅へリフォームしたにも関わらず、生活スタイルの違いなどによって軋轢が生まれてしまっては元も子もありません。

そのため、二世帯住宅のリフォームを行う場合は、お互いの求めているものは何か、住居の種類をもとに綿密な相談をしておきましょう。二世帯住宅をご検討の方は、ぜひ当スタッフまで一度ご相談ください。条件に近い物件を提案させていただきます。