課税対象になる相続税は、財産を築き上げた人にとって関心を抱く話題でしょう。不動産は、相続税の面から投資すべき要素の1つだとされています。とはいっても、「不動産を購入すると相続税対策になる理由がわからない」という方もいるかもしれません。

この記事では、不動産を購入することで相続税対策に繋がる理由や、不動産による相続税の節税を考えている際に注意すべきポイントについて解説します。

◆不動産を購入すると相続税の節税になる理由

「現金よりも不動産を購入した方が相続税対策として有効な理由がわからない」という方もいるでしょう、不動産の購入・相続が節税になる理由は大きく分けて3つあります。

  • ・現金よりも評価額が引き下げられる
  • ・不動産の貸借でさらに減税される
  • ・特例に当てはまる

それぞれの相続税対策について見ていきましょう。

現金よりも評価額が引き下げられる

不動産を購入することで相続税対策になる理由は、「物件の”相続税評価額”が時価に比べて低くなる仕組み」を法的に利用できる点があげられます。不動産だけでなく、相続税を節税する時は対象の資産価値を引き下げる方法が一般的です。

中でも不動産は、基本的に売却価格(時価)よりも相続税評価額が低くなるため、現金による相続よりも節税が可能です。

たとえば、1億円の現金を相続した場合は相続税としてその1億円がまるごと課税対象になります。しかし、1億円相当の不動産を相続した場合は相続税評価額がいくつか減額されるため、課税対象になるのは数千万円まで抑えられます。

つまり、資産価値的には同等であっても、不動産を通すだけで相続税評価額の引き下げにより節税対策に繋がるのです。

不動産の貸借でさらに減税される

現金よりも不動産で相続したほうが節税対策になる一方で、さらに不動産の相続税評価額を引き下げる方法があります。それは、所有している不動産を所有者以外の他人へ貸し出すことです。

アパートのような借地借家法が適応される不動産であれば、所有者よりもそこに住んでいる人の権利が強く守られています。そうすると、「所有者が自由に資産として動かせない」として、不動産の相続税評価額が更に引き下がるのです。

結果として、アパートのように借り主へ不動産を貸すことも相続税の節税に繋がります。そのため、不動産の相続税評価額が気になる方は賃貸経営を行ってみるのもポイントです。

特例に当てはまる

不動産による相続税対策では、「小規模宅地等の特例」を使ってさらなる節税ができます。小規模宅地等の特例は不動産の”土地”に限定されているものの、「一緒に住んでいた土地」「事業として使っていた土地」「貸している土地」など3つに分類して大幅な節税ができる仕組みです。

たとえば、今まで一緒に住んでいた住居を親から貰い受けるシーンなど、被相続人と一緒に住んでいた土地であれば最大330平米を限度に土地の評価額が80%減額できます。仮に土地の価値が1億円だった場合、特例を使わないと1200万円ほどの税金を支払う必要がありますが、特例を適応するだけで税金の支払額は0円です。

不動産を使った相続税の節税において、特例を活用できれば大幅な節税対策に繋がると言えるでしょう。

◆不動産による相続税の節税に関する注意点

購入した不動産の資産的な相続税評価額が通常の価値よりも下回ることで、相続税の節税対策になることは法律でも認められています。しかし、相続税の節税ばかりに目を向けて不動産を無理に購入しようとすると、トラブルの原因になってしまうかもしれません。

不動産による相続税対策を考えている方へ向けて、節税前に知っておきたい3つのポイントをご紹介します。

  • ・まとまった資金が必要
  • ・賃貸経営に失敗してしまう恐れも
  • ・相続争いが起きる可能性がある

まとまった資金が必要

当然ですが、不動産の購入には多額の現金が必要になります。「不動産の相続税評価額」という仕組みをうまく活用することで合法的に相続税を節税できるものの、無理に借金などをしてまで不動産を購入しようとするのはおすすめできません。

不動産を活用した節税を考えすぎると、老人ホームや入院など自身にとって今後必要な各手続きができなくなってしまう恐れがあります。たとえ老人ホームへの入居が予定に無かったとしても、手元から現金をほぼ無くしてしまうのはおすすめできません。

また、不動産で相続税を節税できるとはいっても、実際の相続人は相続税を支払って資産を引き継ぐ必要があります。引き継ぐための相続税を支払う余裕がなければ、被相続人が苦しい思いをしてしまうかもしれません。

不動産の購入資金はもちろんのこと、その後を見据えてある程度のまとまった資金が手元にあるのかどうかを振り返ってから相続税の節税対策に取り組むことをおすすめします。

賃貸経営に失敗してしまう恐れも

不動産の相続税を節税する方法の1つとして賃貸経営が挙げられますが、場合によってはその経営で失敗してしまい、赤字になったり、物件に何らかの問題が生じたりしてしまう場合があります。

建物の老朽化に伴って空き室が増えることも考えられるため、築年数が伸びていくにつれて難しくなる賃貸経営をどのように支えていくか、ビジネスの手腕が問われます。

相続争いが起きる可能性がある

不動産は相続税の節税対策になるものの、一方で”とても大きな資産”として分配しにくいのも事実です。たとえば、二人の子供に資産を残すとき、片方には5,000万の不動産、片方には2,000万の現金といった相続を行うと、被相続人同士で争いが生じてしまうかもしれません。

節税対策になる一方で、”大きな資産”を細かく分断することは難しいです。場合によっては、5,000万の不動産を用意するよりも、現金で3,500万ずつの相続金を用意してあげたほうが円満な相続に繋がります。

相続争いは資産分配で財産が平等でない場合に起こりやすいため、不動産は節税対策になるものの、同時にトラブルを招いてしまうかもしれません。あらかじめ遺言書を用意したり、被相続人たちに説明をしておいたりするなど、何らかの事前説明で納得してもらうことが重要です。

◆不動産で相続税を節税するのは法的に認められている

不動産をうまく活用して相続税を節税することは、特例などをはじめとして法的に認められています。そのため、巨額の資産が余っているなど、子どもたちに資産を残してあげたい場合は不動産を使って相続税を節税してみるのもポイントです。

とはいえ、不動産の賃貸経営で失敗してしまったり、巨額の資産が必要だったり。はたまた相続人同士のトラブルに繋がってしまうこともあるため、節税以外の面に目を向けておく必要があります。

また、行き過ぎた”相続の節税対策”は脱税として扱われてしまうこともあるため、不動産を活用した節税対策をどこまで行うべきか、当社や税理士とも合わせて相談してみることをおすすめします。

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