賃貸物件におけるアパートやマンションなど、複数の入居者と住む場所では共用部分と専有部分の違いに気をつける必要があります。共用部分に不要な物を置いていると、場合によっては弊社など物件の管理会社に撤去処分されてしまう可能性もございます。

この記事では、トラブルを避けるためにアパート・マンションの共用部分におけるトラブル事例をご紹介します。

◆アパート・マンションの共用部分とは?いざこざに発展するトラブル事例

アパート・マンションには個人が住むお部屋(専有部分)だけでなく、そこに通じるまでのさまざまな共用部分が用意されています。エントランスや階段、エレベーターをはじめ、駐車場やゴミ置き場といったなくてはならない共用部分も多いです。

そんなアパート・マンションの共用部分を利用する際、いくつかの注意点に気をつける必要があります。場合によっては近隣トラブルに繋がる可能性もあるため、アパート・マンションの共用部分を使う上で気をつけるべきポイントやトラブル事例を見ていきましょう。

契約を守らず共用部分を勝手に利用する

共用部分におけるトラブル事例の1つとして、契約外のスペースを勝手に利用することが挙げられます。たとえば、駐車場や駐輪場といったスペースの利用契約をしていないにも関わらず、勝手にスペース内を利用するケースです。

また、駐輪場のような共用スペースを無視して、エントランス内へ勝手に自転車を停めるなどの行為はノーマナーとして好まれていません。場合によっては弊社など管理会社や大家に撤去されるため注意が必要です。

指定日を守らずゴミを捨てる

ゴミ捨て場などの共用部分において、指定日以外のゴミを出したり、分別をせずにゴミを置いたりする人が居ます。共用部分の中でもゴミ捨てに関する問題は多く、近隣同士のトラブルに発展してしまうケースもあります。

アパートやマンションによっては住民全体からの反発を受けることも多く、ゴミ捨て場の利用方法は要注意です。

共用部分に私物を置く

原則として、共用廊下や通路を始めとした共用部分に私物を置くことは禁じられています。共用部分は、オーナーの許可なくモノを置くことは禁じられており、勝手に私物を置くと所有権の侵害にあたります。

さらに、通路は消防法によって「避難時の支障となるものは決して置いてはならない」と定められている点も見逃せません。私物を共用部分に置くことで火災予防条例を侵害し、近隣トラブルに発展してしまう可能性もあるのです。

こういった共用部分へ私物を置いていると、大きな災害に発展し責任を問われることもあります。

◆実はベランダも立派な共用部分

ベランダに植木鉢を置くなどして「ちょっとしたガーデニングを楽しみたい」と、ベランダ付きアパートを探す方は少なくありません。

しかし、ベランダ部分は原則として「居住者が専有的に使用できる共用部分」であり、ベランダに大量のモノを置いたり、大規模な改造をしたりすることは禁じられている点に注意が必要です。

アパートのベランダは共用部分かつ避難経路の1つでもあり、先述したとおり、消防法では避難の邪魔になるものは設置しないよう定められています。

ベランダ内に複雑なガーデニングエリアを設けてしまうと、万が一のときに避難活動が遅れてしまう可能性も。そういった背景から、アパート・マンションの共用部分としてベランダの過度な私物化は禁じられているのです。

◆ベランダを有効活用する5つのグッズ

ベランダが共用部分とはいっても、ある程度の工夫でインテリアデザインを取り込むことは可能です。そこで、ベランダを有効活用する5つのアイディアグッズをご紹介します。

すだれ

すだれはベランダの一部を外から覆い隠せるグッズの1つです。太陽光を防ぎつつ風通しの良い空間を作り出せるため、夏場の暑い空間を改善できます。価格も安価で設置も楽に行えるほか、物件の共用マナーを守りつつ、ベランダを自由にアレンジできるのもポイント。

すだれは日本の風情を味わえるため、暑い夏を気持ちよく過ごしたいという方にもおすすめです。

ゴーヤーカーテン

沖縄ならではとして、ゴーヤーカーテンを活用する方もいます。ゴーヤーカーテンとは、植物のゴーヤーをそのままカーテンのように育てること。先程のすだれと同じように日差しを柔らかく遮りつつ、風通しにも優れているため、夏の暑さ対策の方法として人気を集めています。

ゴーヤーは熱に強いため安心して植物の育成も楽しめるなど、ベランダガーデニングと省エネ効果をあわせて楽しめる方法の1つです。最近では、ゴーヤーよりもおしゃれという理由から、古くから沖縄で自生しているウリ科の植物であるオキナワスズメウリも人気があります。

日よけシェード

日よけシェードは文字通り日よけをするためのグッズで、専用の生地を使ったシェードによりプライバシーを確保しやすくなります。さまざまなデザインのシェードを選べるため、好みのベランダを作り出しやすいのもメリットの1つです。

ベランダが狭い人向けに、物干し竿と日よけシェードが合体した商品も販売されています。雨よけ加工がされていれば、突然の雨から洗濯物を守る効果が期待できます。

人工芝

ベランダがアパートの共用スペースでも、通行を防がないような設置物であればトラブルに発展する可能性は抑えられます。人工芝なら水はけもよく、長持ちしやすいため比較的管理も楽です。

天然の芝を利用すると土により配管が詰まるなどのトラブルもあるため、パネル式の人工芝を使ってベランダを好みにアレンジしてみることをおすすめします。

ウッドタイル

ウッドタイルは、すのこがパネルのように細かく分かれたグッズのこと。複数のウッドタイルを組み合わせれば、アパートのベランダをウッドデッキに早変わりさせることができます。

通行を防ぎにくく、水の通りも良いためベランダ周りの腐食を心配する必要もありません。ただし、管理方法によってはウッドタイル本体が腐ってしまったり、ベランダとウッドタイルの間に汚れが貯まってしまったりします。そのため、定期的に掃除などのメンテナンスを行うことが重要です。

◆共用部分のベランダを使う時のマナー

アパート・マンションの共用部分でもあり専有部分でもあるベランダは、マナーを守って利用する必要があります。近隣トラブルへ発展してしまうことを防ぐために、ベランダを使うときのマナーについてご紹介します。

ニオイや煙の出るモノをベランダでする

「ベランダでバーベキュー」「色が付かないようタバコはベランダで」といった方もいます。しかし、ベランダでニオイや煙の出るモノを利用すると、近隣の方の洗濯物にニオイが移ったり、悪臭で窓が開けられなかったりと、クレームに発展してしまう恐れも。

中にはベランダで花火を楽しむ方もいますが、多くのアパート・マンションでは禁止されています。ニオイや煙が出るものは、原則としてベランダで行わないようにしましょう。

洗濯物の干し方に注意する

「布団を干しているだけなのに、階下の人からクレームが入った」と頭を悩ませる方も。布団を手すりから出しすぎると、階下ベランダへの日当たりを妨害してしまうことがあります。そのため、洗濯物を干す時は他の入居者へ迷惑を掛けないよう、自身のベランダ内で干せる工夫をしましょう。

ベランダからモノを飛ばさないようにする

先述したゴーヤーカーテンをはじめ、ベランダでガーデニングをする方は年々増えつつあります。しかし、ベランダでガーデニングをしていると、強風時に土埃が舞ってしまうことがあります。階下や隣人の洗濯物、ベランダに土が飛んでいってしまうことに注意が必要です。

また、ガーデニング中は水やりの仕方にも注意しましょう。一度に大量の水を放出すると排水管から漏れ出てしまったり、土が排水管に詰まってしまったり。また、風で飛んだ水滴が階下の洗濯物にシミをつけてしまわないよう、水やりの仕方に気をつけましょう。

風対策としてベランダの隅に植木鉢を置くなど、モノを飛ばさない工夫が求められます。特に台風時には注意してください。

◆アパート・マンションの共用部分はマナーを守って利用しよう!

集合住宅である以上、人に迷惑をかけないことは最低限のルールです。消防法を参考に通路の邪魔になるような物を設置してはいけないため、さまざまな不要物をベランダに放置することは推奨できません。

とはいえ、工夫してオリジナリティ溢れるベランダを作りたい方も少なくないでしょう。そんなときはすだれや日よけシェードのほか、ゴーヤーカーテンなどを利用してインテリアデザインを取り入れてみてください。

消防法を守りつつ、夏の強い日差しから身を守れるなど快適な空間を作り上げることができます。

住宅情報センターでは、「共同生活における9つのルール」として動画も掲載しています。近隣と住みよい環境を共有することは、暮らしの安心感にも繋がりますので是非、こちらも参考にしてみてください。

動画:「共同生活における9つのルール」