近年では資産運用を目的として不動産を購入する人が増加傾向にあります。不動産には賃貸運営や、不動産を丸ごと売却などさまざまな運用方法がありますが、その資産価値は年が経つに連れ目減りしてしまうのも事実です。

この記事では、不動産の資産価値とはなにか、気になるポイントを徹底解説します。資産価値の下がりにくい戸建て物件を探すときのポイントも紹介しますので、あわせてご参照ください。

不動産の資産価値とは

不動産の資産価値とは、不動産そのものが持つ価値を指します。”新築価格”や”市場価格”といったモノとは違い、不動産の資産価値とは、「土地の価値」と「建物の価値」の2つから成り立ちます。

「土地の価値」は、周辺地域の影響によって経済状況が変われば価値が変動するものの、需要に変化がなければ土地の価値も大きく変わらないのが一般的です。「築何年の土地」といった表現はされません。

一方で、「建物の価値」は築年数などが経過するに連れて低くなってしまいます。「築何年の建物」といった表現が多く、年々建物の価値が目減りしてしまうため、不動産としての資産価値も減っていってしまう仕組みです。

不動産の資産価値はどうやって決まる?

不動産としての資産価値は、「土地の価格+建物の価格」の計算式で求められます。土地の価格はエリアによって大きく異なるため、購入した際の契約書や周辺エリアの取引実績・相場などをチェックしてみましょう。

建物の価格は、「再調達価格×総面積×(耐用年数-築年数)÷耐用年数」で求められます。再調達価格や耐用年数のおおよそは以下のとおりです。

                                                                
建物の構造再調達価格(目安)/m2法定耐用年数
木造11~17万円22年
軽量鉄骨11~18万円27年
鉄骨造14~19万円34年
鉄筋コンクリート造17~21万円47年

法定耐用年数とは、「その年数が経過するまである程度の価値を保てる」と国が定めたおおよその期間を指します。たとえば、木造で再調達価格15万円・100m2の建物を新築購入した際の価格は以下の通り。

「15万円(再調達価格)」×「100(総面積)」×「1(耐用年数22年-0年)/耐用年数22年」=1,500万円

上記の建物が築15年を迎えると以下の価値へ変動します。

「15万円(再調達価格)」×「100(総面積)」×「0.318….(耐用年数22年-15年)/耐用年数22年」=477万円

法定年数間近になると、価値がほとんど減っていることがわかります。法定耐用年数を迎えてしまえば、実質的な価値がなくなってしまう点に注意が必要です。

資産価値の下がりにくい戸建て物件を探すときのポイント

資産価値の高い不動産を購入するのも大切ですが、戸建て物件などは年々その価値が下がっていってしまうのも事実です。そこで注目すべきポイントが、”土地そのものの価値”。

先述した通り、建物は築何年と年月が経つにつれて価値が下がってしまうものの、土地の価値は年数の影響を受けません。逆に、土地開発などによって周辺に利便性の高い施設が増え、土地の価値が向上する可能性もあります。

必ずしも土地の価値が下がらない訳ではありませんが、資産価値の下がりにくい戸建て物件を探すときは以下のポイントに着目しましょう。

使いやすい土地の形状

不動産としての資産価値を決める要因のひとつに、土地の形状があげられます。どのような建物も建築しやすい正方形や、道路と接した面積の広い長方形の土地など、高い価値を誇る土地にはいくつかの傾向があります。

一方で、いびつな形をしていたり、道路との接地面が少なかったりする土地はあまり好まれない可能性も。接している道路が私道・公道などによっても資産価値に大きな影響を与えるため、チェックしておきましょう。

土地の強度

土地には、それぞれ”強度”が存在します。たとえば、かつて農地として運用されていた土地は”水に恵まれた土地”として一見メリットにも思えますが、地盤の不安定さなどいくつかの懸念点が残ってしまうのも事実です。

そのため、土地の強度が不動産としての資産価値を大きく左右します。地盤調査や改良工事を行えば強度面の心配はありませんが、周辺地域の地すべりなどにも注意する必要があります。

空き地の少ない地域

先述した通り、土地は周辺施設などとの兼ね合いで価格が変動する恐れがあります。便利な施設が多く、居住地として適していれば人は自然と増えていき、土地の価値も高まっていきます。言い換えれば、空き地の少ない地域は比較的人が集っているエリアです。

一方で、空き地が多い地域は人そのものが少ないため、長期的に見ると土地の価値が減っていく可能性も。もちろん、空き地の少ない地域なら今後も人口が保てるとは限りません。しかし、資産価値の保ちやすさといった面では空き地の少ない地域を購入するのがベストだといえます。

ハザードマップで災害リスクを確認

災害リスクが抑えられている土地は、資産価値が安定するともされています。国土交通省が公開しているハザードマップをもとに、災害リスクをチェックしてみるのもポイントです。近年では、米Googleが災害リスクの少なさから千葉県印西市にデータセンターを建てると話題になりました。

宮古島市の防災マップ

災害リスクが抑えられている土地には、大企業が何らかの施設を建築する可能性もあり、最終的には土地としての価値が高まる・落ちにくいメリットがあります。

不動産の資産価値を正しく把握して運用しよう

不動産の資産価値は、いずれ目減りしてしまいます。特に建物は法定耐用年数に近づくにつれて、価値が大きく下がってしまうのも事実です。

そのため、不動産としての資産価値をできる限り保ちつつ運用したい場合は、土地に着目してみるのをおすすめします。土地は経年劣化などの影響を受けないほか、場合によっては周辺施設との兼ね合いで価値が高まる可能性があるのも事実です。

また、建物の価値は、適切なリフォームなどを取り入れることで高められます。不動産の価値を維持したまま資産運用したい方や、不動産に関するさまざまなご相談はぜひ弊社スタッフまでお声がけください。