宮古島は伊良部大橋の開通を皮切りに、多くの観光客が訪れるようになりました。2018年度には入域観光客数は100万人を超え、それに伴いホテルなど宿泊施設の建築が激増しています。他にも商業施設の建築や大型公共工事も重なり、島内の業者ではとても間に合わないため県外へ発注するケースも多いようです。

しかし、住宅不足の宮古島では、県外作業員の住む場所を確保することは難しいのです。通常でさえ工事が多いことに加え、作業員が住むアパートをさらに建築する。この一連の流れによって建築ラッシュとなり、土地や建物の値段が高騰し、昨今では宮古島バブルとも言われています。

このように活気づいた島でビジネスを展開しようと、ホテルなどの宿泊施設をはじめ商業施設の建設計画が後を絶ちません。そこで、しっかりと遵守していただきたいのは、宮古島の景観条例です。その中の景観計画ガイドラインに建物の建築基準が明記されていますので、今回はその内容を紹介いたします。

◆景観条例に従った建築物を建てましょう

宮古島市では「良好な景観形成に関する方針」として、①市街地景観ゾーン、②農地・集落景観ゾーン、③海岸地域景観ゾーン、④拠点景観・幹線軸景観ゾーンの4つの景観ゾーンを定めています。

①市街地景観ゾーン
 平良地区の用途地域の範囲

②農地・集落景観ゾーン
 市街地景観ゾーンと海岸地域景観ゾーンを除いた範囲

③海岸地域景観ゾーン
 満潮時の水際線から100mの範囲

④拠点景観・幹線軸景観ゾーン
 歴史・文化を象徴する拠点、宮古島を印象づける拠点、市民や観光客の利用を意識した幹線軸拠点

ホテルを含むリゾート施設を建築する際に最も気になるのは「海岸地域景観ゾーン」でしょう。また、マンションなどは「農地・集落景観ゾーン」に注意する必要があります。実際、宮古島市景観審議会にて審査される建物も、この二つのゾーン範囲内の建設計画が多いのです。海を望むオーシャンビューのホテルやカフェ、利回りの良い高層マンションの計画など、オーナーの気持ちも理解できます。しかし、島の景観を損ねないよう定められたルールは守らなくてはなりません。

◆建築物の景観形成基準とは

まず、最も審議される内容は建物の高さです。各ゾーンではそれぞれにおいて建物の高さが決められています。

「①市街地景観ゾーン」ではマクラム通り等の幹線軸では15m、それ以外では高さの規制はありません。「②農地・集落景観ゾーン」では12m、「③海岸地域景観ゾーン」では7mです。

※宮古島市景観ガイドラインより

◆計画の建物が上限の高さを超えている場合は?

計画段階ですでに高さを超えている場合には、眺望を妨げないような配置、形態、意匠の工夫や、周辺の土地利用との整合性、緑地の確保など全体的に景観に優れるような建物であれば考慮されるケースもあります。

例えば、高さが気にならないように周辺より低い位置に建てたり、建物や地形の高低差を利用し、国・県・市道から見て高さ基準を超えないようにするなどの例が挙げられます。

他にも、建築基準法の高さに参入しない階段室やエレベーターの機械室、倉庫や高架水槽など塔屋等のみが高さを超える場合も同じです。

高さ以外に建物の色も注意が必要です。明度が高く彩度が低い「淡い」色で、土石や木材の色相に近い色が基調色になります。

◆人気の海岸地域景観ゾーンは緑の量も重要!

絶景が期待できる「海岸地域景観ゾーン」では7mの高さ基準があり、この高さを超えた場合に考慮して貰うためのポイント緑の量です。

ガイドラインでは「十分な緑地等の確保」と明記されています。こちらは「沖縄県景観形成ガイドライン」に示されているように「緑地率」「緑被率」「緑視率」があります。それぞれの最も高い水準は下記のとおり。

最低、「緑地率30%」「緑被率40%」「緑視率50%接道延長の緑化長1/3」のいずれかを満たすこと

この基準が目安とされます。さらには、緑化にあたり宮古島に相応しい樹木としても決められています。

◆ルールをしっかり守って島に合う建物作りを!

景観ガイドラインの内容の一部を紹介させていただきました。4項目それぞれで細かくルールが定められておりますので、是非一度、宮古島市景観条例ならびに宮古島市景観ガイドラインをご一読ください。島の良さが残るような素敵な住まい、商業施設、収益物件などが作られることを願うばかりです。

弊社、住宅情報センターでも都市計画に基づいたアドバイスが可能ですので、土地購入から建築にいたるまでお気軽にご相談ください。

–関連リンク–