2025年の路線価が公表され、宮古島市平良西里エリアの「西里大通り」沿いが前年比+18.5%と、県内で最も高い上昇率を記録しました。この地価の急騰は、観光回復や市街地の再開発が背景にありますが、単なる投資ブームとして捉えるのではなく、どのような変化が生じているのかを正しく把握する必要があります。

上昇率18.5%の背景にある実情

今回の上昇の主な要因は以下のとおりです。

コロナ禍明けの観光需要回復
 市内の観光客数は2024年度に過去最高の119万人を記録。これにより、ホテルや商業施設の新設・リニューアル計画が相次いでいます。

市街地の供給減と再開発ニーズの高まり
 中心市街地の空き地は年々減少しており、既存の建物を活用した再開発案件が増加。土地そのものの流通量も限られてきており、取引価格が上昇しやすい状況が続いています。

物価上昇と建築費の高騰
 建材・人件費の高騰により、土地の収益性や価値が見直され、相場全体が底上げされています。

地価上昇は地域の課題も浮き彫りに

一方で、地価の上昇はメリットだけでなく、地元住民にとっての懸念材料も存在します。

住宅用地の確保が難化
 観光関連施設への転用が進む一方で、地元住民や移住者向けの住宅用地が不足。賃貸住宅の供給も十分とは言えず、地元生活者の選択肢が狭まっています。

相続・贈与時の税負担増加
 路線価は相続税や贈与税の評価額の基準になります。地価の急上昇によって、所有者にとっては資産評価額が上がる一方、相続時の納税額増加という現実的な負担も生じています。

建て替え・売却の判断が難化
 市街地の地価が高騰する一方で、建築コストも上昇しており、住宅や店舗の建て替え判断に慎重さが求められています。収支が合わずに計画が停滞する例も出ています。

不動産の扱いには「目的に応じた対応」が鍵

現在のような地価動向下では、「売る」「建てる」「保有する」いずれの判断においても慎重な検討が必要です。不動産会社としては以下の点に注意を促しています。

売却を検討する方へ
 高騰した今こそ、相続対策や資産整理を含めたタイミングの見極めが重要です。取引実績や地域事情に詳しい弊社を含む専門家の意見も参考にしてみてください。

土地活用をお考えの方へ
 建築コストや借入環境を含めた採算シミュレーションが必須です。用途地域や周辺インフラを踏まえ、事業性を慎重に評価する必要があります。

長期保有をお考えの方へ
 将来の固定資産税や管理コスト、近隣開発の影響を想定しながら、土地の使い道を見直すことも一つの選択肢です。

今後の宮古島における土地の見通し

市街地の土地価格は引き続き上昇傾向が予想されるものの、開発余地の減少や生活インフラとのバランスも求められています。2025年後半以降は、地元目線での持続可能な街づくりと、観光都市としての成長戦略の両立が問われるフェーズに入ってくるでしょう。

当社では、単なる取引支援にとどまらず、「このエリアの土地をどう活かすか」「どう守るか」の視点で、地元オーナーさまの立場に寄り添ったご提案を行っています。

不動産の動きが大きい今だからこそ、正しい情報と冷静な判断が重要です。お持ちの土地や空き物件に関するご相談は、お気軽に当社までお声がけください。