宿泊スタイルの選択肢としてすっかり定着した「民泊」。観光地であるここ宮古島においても、使われていない住宅や空室をリノベーションして民泊として運用するケースが増えています。

中でも戸建て住宅を活用した民泊は、グループ旅行や家族連れなどの需要が高く、ライバルが少ないという点で注目されています。一方で、生活用に設計された住まいを宿泊施設として魅力的に仕上げるには、それなりの工夫と準備が必要です。

また、民泊を始めるには、法規制や地域ごとの条例に配慮した計画も欠かせません。リノベーションにかかる費用や補助金の活用、ゲストが「また泊まりたい」と感じる空間づくりのポイントなど、知っておくべき要素は多岐にわたります。

本記事では、民泊リフォームの基礎知識から、費用の目安、成功する物件選びのコツまでを分かりやすく解説します。これから民泊ビジネスに取り組もうと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

民泊リフォームを始める前に押さえておきたい基礎知識

空き家や賃貸住宅を民泊施設として再活用する動きが広がるなか、改装に踏み切る前に確認すべき法律や手続きがいくつかあります。トラブルや違反を未然に防ぎ、スムーズに開業するためにも、制度の概要と注意点を事前にしっかり把握しておきましょう。

1. 民泊運営に関わる法律を理解しておこう

2018年6月に「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)」が施行され、これまでグレーゾーンだった住宅での宿泊事業が、正式に認められるようになりました。

この法律に基づき、空き家やマンションを民泊として利用する場合には、都道府県への届け出が義務化されています。届け出を怠ったり、基準に反して営業を行った場合、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、軽視はできません。

民泊新法の主な要件は以下の通りです。

  • ・宿泊施設として使う建物が「住宅」としての定義を満たしていること (実際に生活の拠点として使われている、または賃貸募集が行われている状態)
  • ・所定の設備や住環境の基準を満たしていること
  • ・宿泊提供日数が1年間で180日以内であること
  • ・また、180日を超えて運営したい場合は、別途「旅館業法」や「特区民泊制度」に基づく申請が必要になります。

2. 消防法・旅館業法の確認も忘れずに

民泊リフォームを進める際には、建物の安全性にも配慮が必要です。とくに重要なのが消防法令への適合です。

火災警報器や誘導灯、防炎カーテンの設置、点検の記録保存など、宿泊施設として求められる安全対策を施す必要があります。管轄の消防署に確認し、指導を受けながら進めると安心です。

さらに、運営形態によっては旅館業法の対象となるケースもあります。営業日数や宿泊人数、建物の用途などによって管轄法令が異なるため、開業スタイルを明確にしたうえで確認しておきましょう。

3. 開業前に集客戦略も立てておく

改装工事だけでなく、集客方法の検討も成功への大きなカギです。SNSや宿泊予約サイト(Airbnb、Booking.comなど)の活用はもちろん、インスタグラムやTikTokなどビジュアル重視の媒体でのPRも効果的です。

開業後すぐに集客が軌道に乗るよう、事前に「誰をターゲットに」「どんな魅力を打ち出すか」を決めて、告知やブランディングも計画的に進めましょう。

賃貸物件やエリアによる制限に注意|民泊化できるか事前に確認を

民泊施設としての活用を検討する際、まず確認しておきたいのが「その物件がそもそも民泊利用できるかどうか」という点です。たとえ空室であっても、賃貸や分譲マンションには独自のルールが設けられているケースが多く、無断で民泊に転用することは基本的に認められていません。

1. 賃貸物件を民泊に使うにはオーナーの同意が不可欠

アパートやマンションなどの賃貸物件では、契約上「転貸(また貸し)」が禁止されているのが一般的です。つまり、オーナーの許可なしに他人へ貸し出す民泊営業は、契約違反となってしまいます。

また、分譲マンションの場合は管理規約で民泊行為を制限しているケースも多く、たとえ自分が所有している部屋であっても民泊として運用できない場合があります。

一方で、管理規約に明確な禁止条項がなく、かつ貸主または管理組合の許可が得られれば、民泊として活用できる可能性もゼロではありません。 どちらにしても、自己判断で進めず、まずは貸主や管理会社に相談し、書面での同意を得ることが重要です。

2. エリアごとの営業制限や禁止区域にも要注意

物件が所有物であっても、地域によっては民泊営業が制限されていることがあります。たとえば、住宅宿泊事業法(民泊新法)では「工業専用地域」を除く用途地域で民泊営業が可能とされていますが、自治体が独自の条例で営業日や時間を制限しているケースも少なくありません。

こうした条例や地域制限を確認せずにリノベーションを進めてしまうと、完成後に営業が思うようにできず、事業計画が頓挫するリスクも。

とくに中古のアパートやマンションを購入して民泊化を検討している場合は、事前に自治体の公開資料や担当窓口での確認を徹底することが欠かせません。

滞在したくなる民泊をつくるために|リフォームで押さえるべき6つの視点

民泊リフォームを成功させるカギは、「また泊まりたい」と思ってもらえる空間づくりにあります。快適さと安全性、そして写真映えする魅力を兼ね備えた民泊施設に仕上げるために、以下の6つのポイントを重視しましょう。

1. 内装の印象で差をつける

多くの宿泊者は、写真を見て宿泊先を選びます。そのため、壁や床の仕上がりは集客力を左右する重要な要素です。壁材は塗装仕上げにすれば、傷や汚れがついても自分で簡単にメンテナンス可能。

床材はフロアタイルなどの塩ビ素材を選べば、コストを抑えつつデザイン性・耐久性を確保できます。高級感を出したい場合は、ナラ材やウォールナット材などのフローリングもおすすめです。

清潔感とセンスの良さが伝わる内装は、それだけで“泊まりたくなる”空間になります。

2. 水まわりは清潔さと機能性がカギ

トイレ・浴室・キッチンといった水まわり設備は、宿泊者の満足度に直結します。

  • ・短期滞在向けであれば簡易的なキッチン設備でもOK。
  • ・電子レンジ・冷蔵庫・ポットなどは必須。

長期滞在を想定するなら、コンロやシンクを備えた自炊可能なキッチンが理想です。トイレは、自治体によっては宿泊人数に応じて複数設置が義務付けられていることもあるので事前に要確認。浴室や洗面台も含めて、「清潔であること」「使いやすいこと」が評価の決め手となります。

3. 寝室と間取りは“誰が泊まるか”で決まる

ターゲット層によって最適な間取りは異なります。

  • ・ファミリー層向けなら広めのLDKと複数の寝室。
  • ・カップルや単身者向けならプライベート感のある個室設計。
  • ・1階を共有スペース、2階を寝室にするなどフロア分けによるゾーニングも有効です。

和室を残して“日本らしさ”を演出したり、寝室ごとに内装を変えたりするのも差別化に繋がります。

4. 外観とエクステリアで第一印象を演出

宿泊予約の時点で物件の外観が悪ければ、内装がいくら素敵でもマイナス印象に。外壁の塗装や修繕で「古びた印象」を払拭しましょう。

  • ・ドアや窓のリニューアルで防犯性と断熱性を向上
  • ・日本庭園風のエクステリアやウッドデッキなどを整備すれば、外国人観光客にも高評価

「写真に残したくなる外観」は、口コミやSNSでの拡散にもつながります。

5. セキュリティと安心設計

不特定多数が出入りする民泊では、安全対策は不可欠です。

  • ・各部屋ごとに施錠できるドアを設置
  • ・スマートロックや暗証番号式ドアで鍵の受け渡しをスムーズに
  • ・防犯カメラの設置や非常口の確保も検討しましょう

古民家や築年数が経過した物件は、耐震性や建物自体の劣化も含めて安全性を見直すことが重要です。

6. 維持コストも視野に入れた設計を

民泊運営には、清掃費・光熱費・Wi-Fi・消耗品・アメニティ補充などのランニングコストがかかります。

  • ・掃除のしやすい素材や設備でメンテナンス負担を軽減
  • ・耐久性の高い床材や防汚クロスで交換頻度を最小限に
  • ・節電・節水型の設備導入で光熱費を抑える

目先の工事費だけでなく、長く運営する視点で素材選び・設備設計をすることが大切です。

まとめ|計画的なリフォームで、選ばれる民泊施設へ

民泊運営を成功させるには、ただ部屋を改装するだけでなく、「法律の理解」「物件の選定」「集客を意識した空間づくり」など、多角的な視点が求められます。とくに中古物件を活用して民泊を始める場合、最初の物件選びからリフォームの設計、そして運用までの流れをしっかり設計しておくことが、長期的な利益につながる大きなカギとなります。

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