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セットバックとは?費用や必要幅、購入時の注意点を詳しく解説
土地探しや一戸建ての建築計画を進める際、「セットバック」という言葉に出会うことがあるでしょう。しかし、このセットバックを十分に理解せず「要セットバック」の土地を購入してしまうと、予定していた家づくりがスムーズに進まない可能性もあります。
本記事では、セットバックの基本知識や注意点、購入時に確認しておきたいポイントについて詳しく解説します。土地購入や新築・建て替えを検討している方は、計画を安心して進めるためにも、ぜひ参考にしてください。
セットバックとは何か?
セットバックとは、土地と前面道路の境界を土地側に後退させて建築することを指します。建築基準法には、住宅が建つ敷地は幅4m以上の道路に2m以上接する必要があるとする「接道義務」が定められています。これは、緊急時に通行や避難が円滑に行えるようにするためです。
ただし、幅が4m未満の道路でも、特定の条件を満たす場合は「2項道路」や「みなし道路」として法的に道路とみなされることがあります。こうした道路に面した土地では、新築や建て替えの際に境界を後退(セットバック)させて、道路幅を確保する必要があります。既存の建物には後退義務はありませんが、建て替え時には一定のスペースを確保する必要があるため、セットバックは建築計画において重要なポイントです。
セットバックにかかる費用と負担について
セットバックには、土地の測量や登記費用、アスファルト舗装や工作物の解体などの整備費用がかかります。一般的な相場は30万~80万円程度で、測量には「現況測量」と「境界確定測量」の2種類があり、隣地所有者との協議が必要な場合もあります。自治体により、補助金や助成制度があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
費用負担は土地所有者が基本
セットバックにかかる費用は基本的に土地所有者が負担します。ただし、一部自治体では、助成金や補助制度を設け、費用の一部を負担するケースもあります。例えば、神奈川県鎌倉市ではセットバックした土地の測量・分筆費用を市が負担し、土地を固定資産評価額の20%で買い取る制度があり、所有者の負担が軽減されています。
セットバックした土地の取り扱いについて
要セットバックの土地を購入する際には、セットバック部分も含めて購入することになります。セットバックが必要な場合、塀や門がある場合には撤去が必要になることもあるため、購入前に確認が必要です。セットバック部分の土地の取り扱いには、主に以下の選択肢があります。
自治体に寄付する:最も一般的な方法で、無償提供として自治体に寄付します。ただし、この場合には境界確定測量や分筆登記の手続きが必要です。地域によっては、測量や登記の費用の一部を補助してくれる自治体もあります。
所有権を維持して私道とする:所有権を残して私道として管理することも可能ですが、駐車場や植木鉢の設置は認められず、あくまで道路として維持管理が求められます。
また、一部の自治体では、寄付の際に奨励金や助成金が交付される場合があるため、事前に確認して手続きを進めることが大切です。セットバックの幅はどう決まる?
セットバックの幅は、道路を挟んだ反対側の状況に応じて異なります。以下の3つのパターンを参考に、必要なセットバック幅を確認しましょう。
1. 道路を挟んで向かい側に建物がある場合
向かい側に建物がある場合は、道路の中心線から各敷地がそれぞれ2mセットバックします。たとえば、道幅が2mの場合、それぞれ1m後退することで4mの道路幅を確保します。
2. 向かい側の土地がセットバック済みの場合
向かい側がすでにセットバックされている場合、自分の敷地側のみが中心線から2mセットバックします。向かい側のセットバック状況は、見た目でも確認できますが、自治体の建築指導課や道路管理課で正確に確認することをおすすめします。
セットバック部分の固定資産税と手続き
セットバックした土地は「道路」として扱われるため、自治体に申告を行うことで固定資産税や都市計画税が非課税となります。ただし、自動的に非課税になるわけではないため、忘れずに自治体へ申告することが必要です。特に地価が高いエリアでは、固定資産税の負担が大きくなるため、手続きを怠らないようにしましょう。
申告に必要な書類は、土地の謄本やセットバック部分の面積がわかる地積測量図などがあり、各自治体の建築指導課や道路管理課で詳細を確認できます。セットバック部分が非課税になることで、購入後の維持費負担が軽減されるため、購入前にこの手続きを把握しておくと安心です。
セットバックの基礎知識を理解して安全な取引を
今回は、セットバックに関する基礎知識や注意点についてご紹介しました。セットバックの重要性を知らずに土地を購入してしまうと、希望通りの家が建てられなかったり、予想外の費用がかかったりと後悔する可能性があります。セットバックは地域の安全や防災のために必要な制度であり、物件の利便性や安全性を高める役割も果たしています。また、セットバックが必要な物件は、相場よりも安く購入できる可能性があるため、購入時にはその点も考慮して検討しましょう。
セットバックについてさらに詳しい情報やご相談が必要な際は、ぜひ弊社までお気軽にご連絡ください。お客様のご要望に合わせて、最適なアドバイスをさせていただきます。