建築用語にはリフォームという言葉があったり、リノベーションという言葉があったり、単純に建物を改築したり修理したりするだけでも、色々な用語が使われています。そんな中、近年使われるようになってきたのがコンバージョンです。そこで、今回はコンバージョン建築について詳しく説明するので、知識がないという方は、理解を深めてみてはいかがでしょうか。

◆コンバージョン建築とは何か

コンバージョン建築とは、簡単に言うと、もともとある建物を用途変更して再利用することを言います。例えば、賃貸事務所だった建物を集合住宅にしたりするなど、用途を変更して使うことをコンバージョンと言います。

良く聞くリフォームの場合は、修理や修繕という意味がありますし、リノベーションは修復や刷新という意味があるので、コンバージョンとはまた違った意味となります。特にリノベーションは構造などはそのままにしておくことが多く、構造躯体以外は変更しないことが多いです。しかし、コンバージョンではリノベーションをさらに進めて、建物としての価値をさらに新しく蘇らせることを意味しています。

実際にはリノベーションにも似ているし、構造自体で使用可能な部分はそのまま使用するため、よくリノベーションと同じ意味だと勘違いしている方もいます。コンバージョンは、もともとある用途とは違った用途として使うために改築していくものなので、リノベーションとは若干異なるものとなっています。

◆地球環境を考えた建物のあり方

日本は人口がこれから減少していくにも関わらず、建物の数はとても多くなっています。今後は空き家もさらに増加し、閑散とした町が増えていく可能性があります。しかし、そんな中、建築されている建物などは、やはりもったいないです。そういう考えを持つ方が増加したからこそ、近年はリノベーションやコンバージョンが増加しているのです。

これらの方法は、もともとある建物を活用していくため、新しく土地を開発しなくても良いですし、既存のものはそのまま使うため、環境にも良い住宅として注目されています。地球環境を破壊するのではなく、もともと人間が開拓した範囲で、新しい建物に付加価値を付けていくことこそが、未来の住宅のあり方なのです。

◆コンバージョンのメリット・デメリット

コンバージョン建築のメリットは、もともとの建物を活用するため、低コストで済むという点が大きなポイントとなります。その他、建て替えするよりも工期が短くなるため、完成まで時間がかからないことも嬉しいものだと言えます。もちろん、工期が長くならないので、その分の費用も抑えることができます。

また、日本のコンバージョンでは、オフィスビルなどが再利用されることが多いため、空きが目立つ物件などで行われることも多いです。そうなると、物件の価値を再び取り戻すことができるため、さらに入居する店や会社を増やすこともできる訳です。その他、住宅として使われることも多く、コンバージョンはメリットが豊富だと言えるでしょう。

デメリットとしては、特に大きなものはありませんが、やはりもともとある構造を意識して作ることが必要となるため、どうしても以前の建物の面影が残ることがあります。また、そういう意味ではオリジナリティを求めにくいという点もあるかもしれません。しかし、より建物の価値を蘇らせることができるため、付加価値を持たせるためには最適な方法だと言えます。特にこれからのコンパクト経済の日本には、欠かせない要素となるかもしれません。

コンバージョン建築は近年注目されているものとなっています。物件の数もとても多くなってきているので、今後はより一層リノベーションやコンバージョンが増えていくはずです。