良く「敷金・礼金」という言葉を聞くと思いますが、不動産を契約する時、それらの言葉の意味がわからないという方も多いのではないでしょうか。確かに敷金と言われてもピンと来ない方もいますし、礼金とはいっても何のことなのかわからない方も多いです。そこで、今回は不動産の用語の一つである敷金について、詳しく説明していくので、これから契約しようと思っている方は参考にしてみて下さい。

◆敷金とはそもそも何?

敷金というのは、慣例的なものではなく、法律で定められています。

民法619条及び判例には、

「賃料その他の賃貸借契約上の様々な債務を担保する目的で賃借人が貸借人に対して、交付する停止条件付きの返済債務を伴う金額」

となっています。

難しい言葉が並び過ぎて、何のことだか全くわからないという方もいるかもしれません。しかし、噛み砕いて理解していくと、とても簡単なので安心してください。

敷金というのは、とても簡単に言うと賃貸物件の貸主が家賃滞納のリスクや損傷・劣化のリスクに対して、補填・保全するために事前に預かるお金のことを言います。例えば、住んでいると何かしらのトラブルが発生し、住宅に傷がついてしまったり、部屋の壁に穴が空いてしまったり、汚れてしまったりします。そういう部屋の修理が必要となった時、予め預けていた敷金を使って、補填・保全するということなのです。

住宅を最適に使っていけば修理や修繕の必要はなくなるので、当然預けた敷金を使われることはなくなるため、退去する時に返却してもらうことも可能です。そして、近年は敷金も礼金も0円というところも多くなっており、当社でも取り扱いがございます。

まとめると、敷金というのは何も問題なく生活していれば、最後に返金されるお金だと思っていてください。

◆原状回復によって状況が変わる

住宅というのは、生活していると必ず劣化していきますし、傷が付くことも多々あります。それが借主の故意によるものだった場合、原状回復というものが必要となります。これは、もともとの部屋の状態を保つという意味で行われるもので、自分が壊したものや劣化させたものに関しては、修理や修繕をしなくてはならないというものです。また、部屋の掃除なども原状回復に含まれることがあります。

これに関しては、経過年数が長かったりすることもあるので、その建物の残存価値を調べて、それに対して借主が何割負担するのかというのが決まるのですが、過失が借主にある場合は、その負担も当然大きくなります。近年の敷金は、この原状回復に充てられることも多くなっているため、十分気を付けておくことが必要となります。実際に知らずに生活している方も多いですが、敷金というのは「普通に使った場合」と「原状回復」によって状況が変わってくるのです。

実際に、それによってトラブルが生じることもあるため、お部屋を契約する時にしっかりと担当者よりご説明させていただきます。

◆貸主と借主のトラブルについて

貸主も借主も、無駄な出費を抑えたいというのは同じ気持ちです。借主が普通に暮らして、丁寧に部屋を使ってくれれば、貸主としても心配はありません。そういう場合は、比較的穏便に敷金も返ってきますし、貸主としても特に傷や汚れがない場合は、特に原状回復を求めることはありません。

しかし、生活していく中では画鋲で壁に穴を空けてしまったりすることもありますし、何かを落として床を傷つけてしまうこともあります。中には壁紙を破いてしまったり、火で焦がしてしまったりするかもしれません。そうなると、当然過失は借主にあるため、原状回復が必要となります。

当然敷金などから修理費などを捻出することになるのですが、その時借主の中には「自分のせいではない」という気持ちもある訳です。

また、逆のパターンで、貸主が提供している物件が劣化してくるということもあります。住んでいる年数が数年から数十年となると、建物は老朽化していくため、必ずしも借主が全ての責任を負うということはないのです。

基本的に貸主の管理が徹底しておらず劣化している場合などには、借主が原状回復の負担を負うということは少ないです。それらも考慮して決定するものなので、一概に敷金が全て返ってくるということも少ないですし、全て使われるということも少ないのです。どういう状況になっても、敷金がどれくらい返ってくるのかについては、しっかり計算しておくことが必要となります。

◆敷金は誰のものなの?

色々と話をしてきましたが、結果的に敷金とは誰のものだと言えるのでしょうか。原則としては借主が貸主に対して預けるものなので、本来の所有権としては借主にあります。借主が何かトラブルを引き起こした時、それを補填・保全するための担保としての役割を持っているので、誰のものかと聞かれれば敷金は借主のものだと言えるでしょう。

ただ、暮らしている間は借主が勝手に敷金に手を付けることはできないので、そう考えると貸主のものだと言えます。流れとしては「借主→貸主→借主」という流れとなっていて、最終的に何もトラブルがない場合は、退去する時に返却してもらうことができるので、特に心配する必要はありません。

◆敷金を返してもらうためには?

敷金については、正直暗黙の了解で貸主が受け取ることが多くなっていますが、近年はトラブルを避けるために、0円に設定しているところも多いです。0円だとその分負担も少なくて良いと思いますが、実際に部屋を壊してしまった場合や破損させてしまった場合などは、自腹で修理することが必要となります。敷金は言わば担保みたいなものなので、預けておけば安心です。

満額で返してもらうためには、部屋を綺麗に使うことが必要となります。部屋を綺麗にさえ使っていれば、特に敷金が使われるということはないので、退去する時にすべて返ってくることもあります。交渉する時は、いかに貸主に真面目な利用者なのかを知ってもらうことが必要となるでしょう。

敷金や礼金に関しては、このようにちょっとした知識を付けておくと良いでしょう。敷金は担保であり、自分に過失がある時も補填・保全できるので、預けられる場合は預けておくのも手です。何かご不明な点、ご質問などございましたらお気軽に弊社住宅情報センタースタッフまでお問合せください。